“哀しみ”が含まれる美しい命がけのメルヘン
昨日は銀座で開催されている、藤城清治影絵展「光と影は幸せをよぶ」を見てきました。
藤城清治影絵展「光と影は幸せをよぶ」 http://www.kyobunkwan.co.jp/ein-karem/archives/info/561abe7
藤城さんが92歳になられ、手足がしびれる病気にもなり、ご本人も「命がけ」と書かれているように、今まで描かれなかった特攻隊をモチーフにした最新作が展示されていました。
絵本では分かりませんが藤城さんの作品は非常に大きなものもたくさんあります。
作品に近づき作者の根気のいる手作業のあとにただただ、圧倒されるばかりです。今でも1日10時間を作品制作にあてていらっしゃるとのこと。
私はあまりメルヘンチックなものは苦手なんですが、藤城さんの作品はいつ見ても感動します。
それは、作品は楽しげで、夢の国のようなのにとても「哀しみ」を感じるからです。
作品を見ていると綺麗!凄い!なごむわ〜!という気持ちの奥に必ず「哀しみ」を感じるのです。
それは、「悲しみ」ではありません。
夢や希望をもち素晴らしい世界を望んでいる、けれども現実はなかなかそこまでたどり着いていないことも判っている。
まだまだ、自分が描く理想の世界はこの世にはないことを、冷徹に自覚しているからこそ、ああいう、哀しみを含んだ作品が出来るんでしょう。
そして、絶望的な今の状況をのりこえて、理想の世界への切望と覚悟を感じます。
子供だましのメルヘンではない、大人のメルヘンを見せていただきました。
「哀しみ」は大人でないと分からない感情ではないかと思います。
「悲しみ」と「哀しみ」の違いは大きい。
「悲しみ」は子供でも感じることができますが、 「哀しみ」は大人でないと分からないでしょう。
これからも、「哀しみ」とともに生きていきたいと思います。
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