アンチ・コンセプトから自分の視点をつくる-「ポンピドゥー・センター傑作展」
昨日は7月31日(日)に開催する「アート鑑賞とフレンチを楽しむ会」のイベントの下見に、「ポンピドゥー・センター傑作展」へ行きました。
印象派以降の20世紀美術を集めた展覧会なんですが、今回のコンセプトはユニークです。
1906年~1977年まで1年ごとに「1作家、1作品」を展示していくという物。しかも、フランス生まれか、フランスで活躍していた作家のみ。そして、同じ作家の作品は1つしか展示しないという物!
そのうえ、ポンピドゥー・センターが所蔵しているものの中から選ぶという。
これは、ハードルが高い!!!
それに、ただ並べるだけではなく、その作家の傑作でないといけない。(なにせ、展覧会の名前が“傑作展”ですから)
そして、20世紀のフランスにおけるアートの状況を一望出来るようにすることも必要です。
これは、ヨーロッパ最大の近現代美術コレクションを有するポンピドゥー・センターだから出来たことですね。
最近の展覧会はキュレーターがコンセプトを決めて、その文脈にそって、作品の展示、構成をしていくのですが(そこがキュレーターの腕の見せどころ)、今回はあえてコンセプトで切り取らず、その時代を時系列に並べていっているところが、
冒険してるな!
と思いました。
コンセプトにそった展覧会はそのキュレーターの思考や価値観によって、ある意味作品にフイルターがかけられているんですね。
見る人には、ドラマチックで解りやすい、納得感があるかわりに、 そのキュレーターの視点から作品を見てしまうんですね。
今回の展覧会はそこを解体しようとしたんですね。 アンチ・コンセプト!
出来るだけ「ただ、見せる」「ただ、並べる」。
そこに立ち上ってくるのは、より純粋な私たち鑑賞者の視点と思考です。
人のコンセプトではなくて、自分でコンセプトを見つけることは難しいとは思いますが、それが出来るようになると、アートであれ、人生であれ、 自分なりの軸をもって生きていけますよ。
「もともとあるのではなく、作りだされる歴史とアート」については長くなるのでまた次回。
※7月31日(日)はこの「ポンピドゥー・センター傑作展」を見たあとに美術館内にあるフレンチでランチしてアートを語る会です。
詳細は近日発表します。興味ある方は時間を空けておいてくださいね。
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