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人間の欲望の生々しさを操りながら、メッセージを伝えるバンクシー

昨日見た映画は、ビジネスにも非常に役立つ作品でした。

あのー、別にアーティストが自分の作品を売るという話なんかじゃないですよ。

■バンクシーという正体不明のアーティスト

正体不明のアーティスト「バンクシー」は自分の作品(グラフティー・落書きアート)を世界各地の壁や路上に描いて、ゲリラ的な活動をしています。

たとえば、砲弾飛び交うパレスチナ自治区の分離壁に描かれた落書きや、街中に突然現れる作品は戦争、セクシャリティー、政治的問題、資本主義、アート業界への社会問題を提起やアンチテーゼをぶつけてきます。

彼の許可なく壁ごと切りだされた作品はオークションで高額で取引されています。 (まあ、許可なんか請求する気もないでしょうが)

まあ、そういうことはいままでのアーティストだってやってるし、一般人も「戦争反対」「愛が大切!」と声を上げて叫んでいますが、なんかいまいちピンと来ない。

なぜかというと、そういう声高に言っている人のなかに、少し自己満足や人を従わせようという欲などを感じてしまうからです。

バンクシーは戦争反対や愛や平和を描いているんだけど、その描き方や伝え方が非常にスマートなんです。

「こう考えろ!この考えが正しいんだ!」という押し付けがましさがない。

■バンクシーが仕掛けたニューヨーク中を巻き込んだ宝さがし

映画の中ではバンクシーがNYの町の中に自分の作品を1か月間限定で毎日1作品ずつ出現させると宣言するんですね。

そして、毎朝その画像をHP上にUPする、だけど、場所は教えない。

つまり、ニューヨーカーを巻き込んだ一大宝探しを仕組んだわけです。

バンクシーの追っかけや野次馬やバンクシーの作品で一儲けしようとする人たちが、ニューヨーク中を右往左往する。 ニュース番組もその様子を放映し、ますます過熱してくる。

ニューヨーク市警は落書きは私有物の破損、公共施設の損壊だ!として「バンクシーを捕まえる!」と言いだす。 まあ、大変な騒ぎになったわけです。

■すべては高い視点で仕組まれていた

予告編ではそこまで伝わりませんが、映画ではバンクシーの作品から人々の欲望や思惑が雪だるまのようにふくれあがってくるのがわかります。

毎日UPされる作品にはアメリカ社会の闇の部分、社会的格差、経済的格差が生み出す地域の断絶、アメリカ軍の民間人射殺問題などがひっそりと滑り込まされています。

しかし、あからさまな作品説明などなく、意味深な言葉だけがHPにUPされます。なので、作品を探す人や見つけた人は、作品の意味を謎解きのように考えずにはいられない。

いえ、考えようしなくても「頭に思い浮かぶように設計」されているんですね。

もう、このセンスが凄いんです!!

完全にメタ認知(高い視点で)人の次の行動を予測していますね。

そして、なにより、私が観た映画もバンクシーが作ったものでは無いんです。

バンクシーとは全く関係のない監督が、ニューヨークの騒乱を題材に勝手に作っているんです。

そして、その映画をみた私がこのようにバンクシーの記事を書いている(笑)

バンクシーの仕掛けに完全にからめとられているんですね。

映画の放映もSNSでの記事、NYのマスコミ報道もニューヨーカーのお祭り騒ぎもバンクシーにとっては自分の作品の一つだったのだ・・・とみんなは後になって気づくわけなんです。

いやーお見事な仕掛け。ビジネスやコンサルタントの勉強に非常に役立ちました。 人の欲望とビジネスって関連が深いですからね。

その他、セールス以外でもいろんな社会問題やアート業界の限界を感じる場面がいたるところにありました。

この映画を見ながらトークセッションするだけでも、その人の視点の高さがあからさまにわかるでしょうね。

メルマガでバンクシーのことを使いながら、私なりの世界を見方をしばらくお伝えしようと思います。

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