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北欧の美しい刑務所に入りたくなる映画


少し前に「もしも、建物が話せたら」という映画を観ました!

想像以上に面白かったので記事にしておきます。

ヴィム・ヴェンダース製作総指揮で、 ヴェンダース、レッドフォードを含む6人の監督が、文化や思想を体現する建物が「話をしたら・・・」という設定で6つの建物とストーリーで展開していきます。

この映画はWOWOW「国際共同制作プロジェクト」として制作されようです。

ベルリン・フィルハーモニーの建物、ロシア国立図書館、ソーク研究所、オスロ・オペラハウス、ポンピドゥー・センターなど有名な建築が取り上げられていました。

その中で私が驚き、考えさせられたのは、ノルウェーのハルデン刑務所の部分です。

映像が流れたとき、そこが刑務所とは思えませんでした。

部屋は個室で、机や本棚は北欧調の温かみのある家具で、窓からは美しい広大な庭が見え、もちろん鉄格子などありません。

受刑者はその中で労働して、好きな雑誌や日用品を刑務所内のお店で買うことができます。

スポーツも奨励されていて、映画の中では受刑者数名が刑務官と一緒に楽しそうにバスケットボールをしていました!

その時の受刑者と刑務官の上下関係を感じさせない、自然な人間的な関わり合いでした。

刑務所内には現代アーティストのバンクシーの絵が壁に描かれていて、美しい庭には小さな家が建てられていて、受刑者は家族とその家ですごすことができます。

私の感想・・・ 「う〜〜ん、ここに住みたい。」

住環境的には素晴らしい。

日本でこれと同じくらいの環境に住んでる人が何人いるんでしょう?

でも、ここには「本当の意味の自由」は無い。

壁の内側では、素晴らしい環境、レジャー、文化施設があるけど、刑務官が自由に自室に入ってきて部屋をくまなく点検するし、勝手に部屋から出ることは出来ない。

そう、限定的な自由なわけ。

しかし、また一度考えてみると、塀の外にいる私たちは本当に自由であるのか?

実際は収入、職業、会社、人間関係、社会通念、社会的構造にいつのまにか、縛られている。 いや、自由に生きている!と思っているだけで、本当は目に見えない「塀」に囲われているんですよね。

「本当の意味の自由」より、「限定的な自由」でいいから生命の保証をしてもらい安心して、ある程度の楽しみを享受して生きたい、と思う人は多いのではないでしょうか?

日本の貧困世帯、ネットカフェ難民、ホームレスの人たちがこの映画をみたらどう思うだろう?

「私は一般的に自由に生きれている!」と思っている社会人の人がこれをみたら、どう思うんだろう?

「私ってそれほど自由を求めてはいなんだな・・・。」いう本心を見つけてしまうんじゃないかな。

「自由より快適な不自由がいい」って、こっそり思ってしまうんじゃないかな。

心がザワザワする映画でした。

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